能楽囃子

『楽器の種類』四拍子

ひとつの管楽器と三種類の打楽器によって構成されている。
三種類の打楽器は撥で打つ床置きの締め太鼓と手で打ち込む大、小の鼓がある。

『楽器の名称と材質』

【笛】能菅と呼ばれる横笛の材料は何百年にもわたり萱葺き屋根の骨組み材として使用され囲炉裏で燻され煤竹となった竹材を用いて、それを短冊状に切り分け固い竹の皮を内側にして束ね、それを桜皮で巻き付け漆で内外を塗り固めます。

【大鼓】「おおつづみ」もしくは「大革おおかわ」と呼ぶ。

【小鼓】「こつづみ」もしくは「つづみ」と呼ぶ。

何れも桜材を砂時計型に刳り抜いた鼓胴の両側に二枚の馬皮でできた鼓革で挟み、それを麻製の調べ紐や絹製の小締め紐で鼓の形に組み上げています。

【太鼓】は欅材の胴と牛皮の太鼓革を麻製の調べ紐で結び留め黒檀などの硬く強い材質で出来た太鼓台に乗せ檜製の撥を使用します。

古能楽図(慶長最古図)

『楽器の奏法と特色』

「能管」は外見上、雅楽にて使用する龍笛と似ているが内部構造が違い、息を吹き込む歌口と指穴の間にノドと呼ばれる笛の内径が細く絞られた形状により独特の鋭く甲高いヒシギという調子から呂という低い調子まで音域の広い特色ある横笛です。

「小鼓」は鼓胴を表裏両鼓革で挿み、麻製の調べ緒紐で適度に緩みをもたせ組み上げ調べ緒紐を左手で掴み右肩に載せて右手で下より打ち上げて鳴らします。
左手による握り強弱の微妙な調整と右手の指使いにより大小様々な調子音色をだす事ができる。
小鼓革には適度な湿り気が必要のため乾燥が厳しい時期には鼓革の表面に息を吹きかけたり和紙を少量、唾液で湿らせ裏革の表面に張り付けたりして音色を作り出す。

「大鼓」は小鼓に比べて一回り大きく鼓革も頑強に出来ており調べ紐を強く締め上げ絹の小締め紐で調べ紐を数本束ねその部分を左手にて掴み左足桃の上に載せ右手を横に開き打ち込みます。
大鼓を演奏する1~2時間前より火鉢に炭火を用意して鼓革を焙じます。
よく乾いた鼓革を演奏する20分前くらいから鼓胴を間に入れ表裏鼓革に通した調べ紐を強く締め上げ組立てます。

「太鼓」は台にかけ床に置き両手に檜製の撥を持ち身体正面にて両腕を上下に振りかざして打ち込む。
太鼓の胴は欅材などを刳り貫き制作され、牛皮の太鼓革を麻製の調べ紐にて強く締め上げ表側の撥で打つ部分には撥革と呼ぶ鹿皮を貼って撥の当たりを和らげ太鼓革を保護します。
太鼓の台は黒檀や紫檀などの頑強な素材で制作されている。

能楽囃子の鼓や太鼓の演奏上の特色として掛け声があります。
掛け声には法則があり太鼓、大小の鼓が互いの位置関係を知らせると共に曲趣や場面により変化をつけるなど鼓を打つことと同じく重要なものです。
囃子は字の如くはやしたてる(栄やす)と言うように舞台に活力を与える働きがあります。

宮中能楽図